ニチロジブログトップより2009.07.22 成長への布石 ~ 向かい風を追い風に
100年に1度とも言われる厳しい不況の中で始まった2009年も、経済環境がほとんど改善されないまま半年以上が過ぎました。 中国がすでに底を脱して反転し始めたと公表される一方、わが国は、底離れしたとはいわれているものの、一般の景況感では、中小企業を中心にはっきりとした回復感などはなく、業績もまだまだ改善が見られません。 同様に、わが物流業界も回復の実感などはなく、底をはっているような動きのままで、反転の兆しがまだ見えませんが、これ以上悪化する気配もありませんので、近々必ず上向いてくれるものと、私は期待しています。 さて、最近気になる新聞記事が2つありました。 そのひとつは、SCM不全が業績を大きく押下げたという記事です。SCMとはサプライチェーンマネージメント、つまり、原料調達から製品の最終ユーザー配送まで一連のモノの流れを、経済の動向に合わせていかに合理的、効果的に管理するかという手法です。 今回の世界同時不況は、最初はサブプライムローンという金融における問題が発端でしたが、わが国の場合は、それがすぐにモノ作りの分野に波及し、自動車や電子機器をはじめ、多くの製品が売れなくなってきました。売れなくなると、メーカーは生産量を適正水準まで減らしますが、今回の不況では、急激でかつ大幅に売れなくなったことにより在庫量が急増したため、生産量をそれに合わせて急減しなければなりませんでした。生産量を急減させるためには、原材料の調達を始め、一連の資材の購入量も急減させるなど、一連のサプライチェーンを即刻見直し、修正しなければなりません。この修正速度が遅れれば、急減産や在庫調整に遅れが生じます。つまりSCMが上手く機能しない状態です。わが国を代表する世界的メーカーが、軒なみ赤字決算に陥った最大の原因が、このSCM不全にあったと記事は説明しています。 SCMという手法では情報と物流が大きな役割を果します。経済の動向をすばやくキャッチし、その情報に基づいて生産と物流を管理することによってサプライチェーンを最適化するこの手法では、物流が非常に大きな役割と責任を担っているのです。 こう考えてきますと、世界的な不況においてSCMをいかに上手く機能させるか、その中で物流をどのように管理していくか、その優劣によって業績が大きく異なってくることが分かります。急にモノが売れなくなった場合赤字をいかに減らすか、この問題は非常に難しく、どんなに優れた会社でも簡単には解けないものですが、そのひとつの解法がSCMの上手な運用であり、そこでの物流の大きな役割を考える時、わが社が所属している物流という産業の社会的重要性が再認識させられます。 ふたつ目の記事はキリンとサントリーの経営統合についてです。 記事によりますと、2社統合の理由のひとつは、人口減少などのために収縮しはじめた国内の食品市場で、今後も成長を続けることは極めて難しく、そのため統合によって経営の基盤を強固なものとして、その上に立って広く世界市場に打って出ることにあるというのです。収縮する市場においても増収増益を目指す2社のこの計画は、同じく市場が収縮している物流業界にも大きなヒントを与えてくれます。 一般的に、成長が見込めない市場にあっても、会社が増収増益を目指すとすればどんな手段を採れば良いのでしょうか。もちろん他社の何倍も努力し、市場占有率を上げていくのが有効な手段でしょうが、それには自ずと限界があります。 キリン、サントリーの例を参考に考えてみると、まず経営の統合や企業買収があります。よく見聞するM&Aです。次に、より大きな市場や成長する市場に進出する手法が考えられます。食品業界の巨大企業たらんとする2社にとっては、その行先が世界市場だということです。物流業の場合はどのように考えれば良いのでしょうか。 物流市場の成長率はGDP成長率の範囲内になると私は考えますが、今年と来年のGDPはマイナス成長が予想されていますので、物流市場もマイナス成長、つまり市場の収縮を覚悟しなければなりません。収縮する市場でわが社が増収増益を遂げていくには、規模は違えど、キリン、サントリーと同様な経営戦略を考える必要があります。 まず第1がM&Aです。その中でも力点は買収に置きます。次に成長市場への進出です。経営資源が限られているわが社は、世界に進出するなど考えられませんから、成長著しい隣の国、中国の市場に何とか進出できないだろうか、と私は10年前から考えています。 2番目は、M&Aに近い考えですが、値下がりしてきた顧客つき物流施設の買収です。採算性の高い大型物流施設の新設も視野に入れるべきだと思います。 いずれの案も多額の資金が必要であり、実行する場合は会社の命運をかけて、最大限慎重に事を運んでいかなければなりません。首尾良く実行したとしても、成功をおさめるまでには多くのリスクを乗り越えなければなりませんし、時間もかかることでしょう。でも現在この時点で何もせず、何の対策も立てないとすれば、わが社の将来に光明は見つけにくく、経営も安泰とはならないでしょう。何もしないリスクが実は非常に大きいと私は考えます。 今年の10月にはわが社が創立して50周年を迎えます。この間に築き上げた物流業者としての基盤は、極めて強固なものがあります。その上に、さらに先進的で社会に貢献する企業体を作り上げるのが私への課題でもあります。 新たな優良企業構築に着手する好機が、今年中には必ず訪れてくれるものと思います。 その計画を成功に導くことが私の大きな使命です。 陰で支えています ~ 管理本部紹介 » |
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